イギリスそよ風もよう

ー庭やアロットメントでのガーデニング、いけばな、フラワーアレンジメントの日々を綴りますー

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美しい樹木の庭園;ワデスドンマナーハウス

                       20 August 2007


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 駐車場案内人の誘導に従い車を止めて歩き始めましたら、もうこのような景色が広がりました。五月初めですから新緑のシーズンで、空気も清浄、小鳥達のさえずりを聞きながら、そろりそろりと歩き始めました。
 ブルーのお花は忘れな草です。




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 中ほどの銅葉色の樹木は、英語名でコパービーチ(Copper beech)とかパープルビーチ(Purpul beech)といわれる、ブナの一種だとおもいます。季節が進むに連れ、濃い銅葉色になっていきます。




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 18世紀末頃から、植物の収集家達は、日本・中国・北米・南米などの国々を始め、世界各地に繰り出して自国には無いプラントを持ち帰りました。
 富豪達は海外からやってきた珍しい樹木や草花を植え込み、その生育を楽しむのが19世紀初頭の新しいファッションでもあったとのことです。アーバリータム(Arboretum)という新しいタイプの庭園が誕生したのもそのころです。
 石楠花やマンサク、ウインタージャスミンや九輪草(Primula Japonica)など、その他多くの種類の、かつて見たこともない花を咲かせて雇い主を満足させるのが、専属のヘッドガーデナーの腕の見せ所だったようです。



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 ブナ類の好きな私はついブナの写真を多く写してしまいます。
 ちなみにジャパニーズメイプルと呼ばれ英国人に愛されているヤマモミジ(Acer palmatum)が、西洋に紹介されたのは1820年で、メイゲツカエデ(Acer japonicum)の方は1868年だと手元の本には書かれています。これらの植物を西洋人として初めて確認し、西洋にその名を明らかにしたのは、植物収集が目的で日本に渡った植物学者のC.P.チュンベリー(Thunberg)というスエーデン人だそうです。
 この方が当時西洋人として初めて日本で確認し、やがて西洋に持ち込まれた植物は、学名の一部にThunbergiiと記されてありますから、判別は明確です。




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  ここで見られる木々は自生していたものではなくて、すべてといってよいほど当時の造園師によって植えられました。
 ランドスケイプガーデンという言葉が使われ始めたのは1788年という記載を目にしましたが、海外からやってきた新しい植物を取り込んで、このような理想の楽園のような、樹木の庭園をつくりはじめたのは18世紀の終りごろか、19世紀のはじめ頃からのようです。
 狩猟を目的とした公園のような領地とは異なります。




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 19世紀初頭、折りしも、欧米ではロマン主義運動が起こり、そんな背景もガーデンデザイナー達を奮い立たせたのでしょうか。今に名を残す三人の優れたランドスケイプガーデンデザイナー達も、この時期に頭角を現しました。
 そしてヴィクトリア時代、巨万の富を築いた富豪達は大邸宅に住まい、何人ものガーデナーを雇うことができたといいます。




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 ランドスケイプガーデンは、現実離れしたロマンティックな理想郷の構築だったようです。適した場所に彫像を配置し、そして噴水や池もあり、小川も流れて、そこには装飾的な橋もかけ、グラトー(grotto)というちょっと楽しそうな洞窟まで築いている庭園もあります。そしてテンプルと呼ばれる、神話に出て来るような神殿を丘の中腹の見晴らしの良い場所や池の傍に建て、散策途中のお休み所にしている庭園もあります。ランドスケイプガーデンには絵のように詩的で、のどかな景色が広がっているのです。
 ワデスドンマナーハウスの建築が始まったのは1874年ですから、植物もデザインも豊かなチョイスの中から選ぶことが出来たことでしょうね。ワデスドンマナー全体が英国におけるもっとも素晴らしいヴィクトリアンガーデンの一つだといわれるのは、そういう背景とも関係があるのかもしれません。

 さてこの位置で、左手にマナーハウスが見えてきました。



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 荘厳な空気を感じます。草花とはまた違った気高さ、優美さ、厳かさ、このような樹木の前にたたずみますと、静かにこうべ(頭)を垂れる思いです。




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 巨大サイズのアーンですね。アーンを含めた足もとのお花の植え込み模様は同じものがマナーハウスのすぐ傍でも見られました。



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 車を止めてからワデスドンマナーハウスまでの距離はかなりありますが、歩行困難な方のために電気自動車による送迎サービスもあります。




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 ハウスの前から歩いて来た方向を振り返りました。
 植えられている木はイングリッシュオークです。イギリス自生の木で、家具や建築の大切な材料であり、戦争中は軍艦の材料にもされたという、イギリス人のもっとも誇りとする樹木だと思います。




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 マナーハウスの後方に回りました。
 これはホースチェスナッツ(Common Horse Chestnut)と言われ、花も美しく英国では良く見かける樹木です。
 ジャパニーズ ホースチェスナッツ(トチノキ)も英国にあります。いずれも見た感じは良く似ていますが、葉のサイズが日本のトチノキの方がやや大きめであること、そして実を包む皮に、ホースチェスナッツにはあるとげ状の突起がありません。



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 赤いお花の咲くレッド ホースチェスナッツも見えますね。



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 芝生にはたくさんのデイジーの花が咲いています。このようなお花も大切にされています。



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 この道の先にもきっと素敵な樹木が育っていることでしょう。今回の散策はここまでと致しました。この後レストランでランチをいただき、マナーハウス内の素晴らしい展示品を観賞して帰途に就きました。
 ナショナルトラストのメンバーであれば、年会費を納めていますから、入場料を支払う必要はありません。いつでも好きなときにここを訪れることが出来ます。



 
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 駐車場に戻る途中、道脇にブナが林立しているところが有りました。大好きな新緑のブナの林のなかを歩くことが出きるなんて幸せです。




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 このワデスドンマナーハウス一体は小高い丘の上に位置していますので、樹木の切れ目からこんな美しい田園風景も見られます。
 黄色く見える畑は菜種の花です。英国の田園風景は世界一美しいと言われる方がいますが、世界中を見ていない私もそれは真実かも知れないと思うこともよくあります。




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 マナーハウスは1874年から15年の歳月をかけて完成しました。ロスチャイルド男爵は,テラスガーデンのデザイン段階から実際の植栽に至るまで、ガーデナーたちの手を借りながら自らが手がけたということです。
 1990年の5月には、ヴィクトリア女王が一日訪れ、ポニーの引く四輪馬車に乗って庭園を廻ったという記録があるそうです。また、キングエドワードやキングジョージも御常連の訪問客だったようです。

 男爵が59歳でこの世を去ったのは1898年のことでした。マナーハウスが完成してから9年後のことです。
 そしてそれから更に109年が経過しました。ナショナルトラストの管理に移行して50年、樹木はいずれも立派な大樹に成長し、連日大勢の訪問客の目を楽しませて下さっているのが、現在の姿です。
 造園に積極的に参加されたというこのハウスの初代御当主、ロスチャイルド男爵には、100年後のこのランドスケイプガーデンの美しい姿は、当然脳裏に描かれていたことでしょうね。


 樹木の好きな私はつい熱が入り、19枚も写真をアップしてしまいました。
 次回は自宅の庭に戻ります。


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  1. 2007/08/20(月) 10:27:35|
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  3. | コメント:12

ワデスドン マナーハウス

                      16 August 2007


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 7月28日に『マナーハウスに生け花』のタイトルで、ワデスドンマナーの写真を何枚かお目にかけました。今回ここでご覧いただきます写真も同じ時(五月初旬)に写したものです。
 このマナーハウスは、建物はフランスのルネッサンス様式、テラスガーデンはフォーマルなイタリアンスタイル、そしてランドスケープガーデンを含めた全体のガーデン構成は、英国におけるもっとも素晴らしいヴィクトリアンガーデンの一つだと言われております。




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 一枚目の写真に写らなかった建物の右側部分を収めました。
 建物前に続くアプローチ部分は、フランス風なのだそうです。確かに装飾的なものがほとんど無くて、英国風のアプローチとはかなり異なりますね。





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 このように成熟した木の威風堂々とした感じが素晴らしいと思います。


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 建物の左側から裏にまわりました。コーナーから建物を見上げるような角度です。




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建物の裏側は、テラスガーデンになっています。パーテェア(parterre)と言われるフォーマルなイタリアンスタイルの装飾花壇で、このお城”に最初に住まわれたロスチャイルド男爵(Baron Ferdinand de Rothschild)のお気に入りのスタイルだったようです。




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英国風のボーダーガーデンとはかなり趣が異なります。イタリアの古典的デザインのガーデンで、色彩効果をねらってマッスで楽しむ為、季節が変わるたびに同種類のお花を大量に総入れ替えしておられるようです。





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 裏庭の中央正面には彫像や噴水があります。




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 中央から左を眺めました。ランドスケープガーデンの樹木が背後に見えて、本当に美しいですね。




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 そして、右を眺めました。




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噴水の傍を通ってテラスの先まで歩き建物の方を振り返りました。




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テラスガーデンの先には階段があって、ランドスケープガーデンに降りて行かれるようになっています。





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 下りてみました。マナーハウスは丘陵地にありますから、この辺りはなだらかに傾斜しております。ブルーのお花が綺麗ですね。





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 花弁は深いブルーでオシベはゴールドです。カマッシア(Camassia leichtlinii)と発音するようです。




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 再び丘の上に戻ってきました。斜め後方からの建物の眺めです。




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 売店ではアイスクリームも売られており、つい私も求めてしまいました。この子供たちも美味しいアイスに夢中です。年齢差からの判断ですが、五人は兄弟姉妹に見えました。
 ご両親の姿が見えません。きっと子供たちをここに待たせて急いでワインショップか売店でお買い物をしているのかもしれませんね。





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 これはフロントのランドスケープガーデンの一部です。
 私は草花ももちろん好きですが、樹木に寄せる思いにはそれ以上のものがあります。
 次回はその景色をご紹介いたします。


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  1. 2007/08/16(木) 10:56:46|
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プロフィール

はなあかり

Author:はなあかり
 人生も後半にさしかかり英国で暮らすことになりました。今では黄昏年齢となり、それが花灯りの名前の由縁でもあります。日本に残してきた小さな庭にいつの日か帰る夢を抱きながら、一方では、自分好みに染まるこちらの庭への愛情もはかりしれません。
 2002年にアロットメントに植えたグリーンゲージなどの果樹類も大きく育ち、秋には収穫を楽しんでおります。

 City & Guilds にてFlower Arranging Skillsを、NAFAS (National Association of Flower Arrangement Societies)では、Floral Art & Design のDiploma を取得しました。
 1998年に<いけばな>指導をスタートし現在に至ります。2007年に、ご関係者からのご要請とお仲間のご支援のもと、ロンドンに<いけばな>の新組織を立ち上げました。以来、組織の運営に関わりながらお花の指導を続けております。

 自宅の庭は、<いけばな>や英国風フラワーアレンジメントに必要な植物素材を調達する上で、大変有益で大切な場所になっております。2010年からは、すべてひとりで手入れしておりますので、メンテナンスの少ない庭は必須となり、今ではシュラブ類と宿根草のみの庭になりました。
 更新は稀ですが、折々にお出でいただければ嬉しく存じます。

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