イギリスそよ風もよう

ー庭やアロットメントでのガーデニング、いけばな、フラワーアレンジメントの日々を綴りますー

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チェルシーフラワーショー百年祭

                             15th June 2013

 チェルシーフラワーショーには、1862年以来、ケンジントンのソサエティーガーデンにて開催されていた‘グレイトスプリングショー’という前身があり、そのフラワーショーが1913年の5月に現在のチェルシー王立病院広場に会場を移したという経緯があるようですね。そのチェルシーにおけるフラワーショーが、今年でちょうど100年の節目の年を迎えたということのようです。

 華やかなイメージのフラワーショーではありますが、チェルシー100年の歩みの中には、二度の悲惨な世界大戦により中止を余儀なくされた年も含まれております。
 例年、会場の入り口付近には、真っ赤なコートに黒い帽子を被ったチェルシーペンショナーと称される退役軍人の方々が、筒状の募金箱を持って立っておられますが、その光景は、もう一つのチェルシーフラワーショーのイメージでも有ります。今年は百年をお祝いする記念品として特製マグが発売されました。何とそのマグには、お二人のチェルシーペンショナーのお姿がフォーカルポイントではありませんか。わが意を得たりとばかり嬉しくて、早速私も記念に一個買い求めました。


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 チェルシーペンショナーの数は老齢化のため年ごとに減り、昨今では普通の服装で募金箱を持つボランティアらしい方々の数が増えて参りました。例年私は、まずは赤いコートをお召しの方に歩み寄り、ささやかながらコインを投じて胸にシールを貼っていただきます。かつてお互いの間に敵対した歴史が有ったことなど去来するやせざるや…ひたすら優しいスマイルが、今年も90歳程の誇り高き古老のお顔から返されました。
 この百年記念の年に当り、世界中の人々に心置きなく花を愛せる確かな平和が訪れますように、そしてチェルシーフラワーショーが、この先も永遠に続きますようにと祈らずにはいられません。




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ショーの会場には私は地下鉄で参りますが、最寄駅のスローンスクエア駅からはほんの6~7分ほどのところに会場は位置しております。駅に続くこの豪壮な住宅街も、お馴染みの通り道となりました。




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 この日は5月21日(火曜日)、RHS会員のための公開日初日です。この大勢の人々が行き交うショッピング通りは、狭い間口と限られた奥行きのお店ですけれど、クオリティーの良い製品を扱うお店が多く、買わずとも思わずポップインしたくなるようなショップが軒を連ねております。
 上掲の記念のマグも、この通り沿いのショップで求めました。




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 ここはピクニック広場です。ここでバンド演奏を聴きながら、屋台で求めたドリンクやランチなどを楽しむ人々の姿で終日賑わいます。一人で訪れた私は、ここで持参のお弁当を戴きました。
 会場にはパック入りのサンドイッチやお寿司などを中心に販売する簡易レストランが有りますから、そこで過ごされる方の数も多いようです。
 その日、ちょっとリッチな気分で過ごしたい方はシャンペイン&シーフォードレストランで過ごされるのもアイデアですね。このレストランは、午後3時から6時までアフタヌーンティーの時間のようです。ティーにも三種類のコースが有りますようで、40ポンド(約6、000円)のコースですと、Laurent-Perrier Roseがグラスで供されるとのこと、チェルシーにおけるアフタヌーンティータイムに、シャンペンを傾けるのも、素敵なひと時の過ごし方かと思います。


 

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 一番最初に駆けつけるのは、何と申しましてもショーガーデンの展示です。今年は15の出展がございましたが、それらの三分の二に当たる10のガーデンがゴールドメダル受賞、それに次ぐシルバーギルト(準金賞)が三つ、シルバーメダルは二つという内訳です。

 これは、Trailfinders Australian Garden presented by Fleming’s,オーストラリアのガーデンデザイナー,Phil Johnsonのガーデンです。このお庭が2013年度のベストショーガーデンを受賞しました。




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 数多いゴールドメダル受賞のガーデンの中から、ベストに選ばれたのですから、あらゆる点で優れているということなのでしょうね。どのような事が他の展示よりも高く評価されたのでしょうか、私のような素人には、理解の域を超えた世界のようです。
 バックグラウンドは、オーストラリアの都市環境と言う設定で、宙に浮いているように見える花型の構築物は、スタジオのようです。
 私などは、外から眺めるだけですからあの物体に違和感を感じてしまうのですが、実際に中で仕事をなさる方の立場に立てば、あらゆる角度に窓の拡がる球体の部屋は、周辺の庭環境に融け込み、静寂を強調する滝の流れも、オフィスに居ながらにしてエンジョイできるということで、快適な空間なのかも知れません。
お花の形に仕上げたところにも意味がありそうです。

 遠い昔、私の兄が大きな木の上に小さな部屋を作ったことがあります。そこで過ごす時間のぞくぞくするような喜びを今も忘れることが出来ません。大げさですが子供なりにまるで別天地のようでした。審査員の方々も、案外あの空間の居心地の良さに魅了されたのかも知れませんね。 
 


 
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 植栽はユーカリ、カンガルーポー、ボトルツリーなど、オーストラリアの自然の植物達だそうです。オーストラリア大陸は人間が居住している場所としては、最も乾燥した地域のようですから、植物たちも乾燥に強い種類ばかりですね。そういう観点からも興味深く植物を観察できました。




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  このガーデン、The Arthritis Research UK ardenが、今年のショーガーデンのピープルズチョイス(The RHS People's Choice Show Garden)に輝いたお庭です。デザイナーはChris Beardshaw、スポンサーは、Arthritis Research UK。

 チェルシーショーには一般の方々の投票によってベストショーガーデンを選ぶ、ピープルズチョイスと言う賞が有ります。その賞の受賞者は一般の方々に最も高く評価されたことで、審査員の選ぶベストショーガーデンに勝るとも劣らない名誉を感じることでしょう。
 2009年の例ですが、一般の方々の投票の結果、最高の得票数を得たのは金賞受賞者ではなく、準金賞(シルバーギルトメダル)受賞者だったことがございました。審査の結果と一般の方々のチョイスは大きく異なることもあり得るということでしょうね。

 Arhritisとは関節炎ですから、それの研究機関がこのガーデンのスポンサーのようです。チェルシーショーに出展することによって、この病気に苦しむ方々への理解とサポートをアピールしたのでしょう。




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 この針金で作られた像は、両腕を頭上後方に伸ばして、力強く背伸び立ちするような姿勢です。関節炎の痛みから解放されて自由になりたいという願いでしょうか…などと考えさせられます。
 チェルシーフラワーショーは、ただ単に美しい植物を並べているだけでは無いことを納得させられます。それぞれの植栽や色彩、形体には意味が有ることを理解しようとしますと、フラワーショーも一段と奥深くなるのでしょうね。




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 中央に見えるブロンズ像にも、意味が有りそうです。関節炎だと宣告された時の恐れや動揺を表すのでしょうか。それを受け入れて闘病する姿でしょうか。意図するところは正確にはわかりませんが、この御病気で苦しまれる方々に思いを馳せ、そのような想像を巡らせました。
 像の後方に生垣が見えますが、生垣の後ろにも重要な意味を持つガーデンが繋がっております。さらにこの写真の右側にも生垣が有りますが、その生垣の外側はこの次の写真のような光景です。


 

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 これら植栽のナチュラル感と美しさには息を呑む思いです。白いレース状のお花のほとんどは、カウパセリ(Cow parsley)ともクイーンアンズレース(Queen Anne’s lace)とも呼ばれておりますワイルドフラワーで、4月から6月頃まで、英国内でしたら山野に咲き溢れております。
 手前中央に紫味を帯びたローザ グラウカが見えますね。その近くにコゴミの葉が見えますが、ロイヤルファーンと呼ばれるゼンマイも所々に植え込まれておりました。




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 The M&G Centenary Garden-‘Windows through Time'
 デザイナー: Rogger Platts

 それぞれに興味深いショーガーデンですが、私好みのガーデンはこちらです。
 来訪者に近いコーナーに設置された拡大鏡のような形の彫刻物は、このガーデンにおける唯一のモダンなオブジェです。これも‘Windows Through Time'のテーマに沿い、百年のチェルシーの歴史を振り返る、一つのウインドウ・窓と言う設定のようです。
 
 それにしましても優しい風情の美しいお庭です。




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 昨年、私の庭に迎えた同じ種類のアザミに出会えて、嬉しさもひとしおです。




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 この光景は百年前と少しも変わらずに愛され続けているのではないでしょうか。茅葺のあずまや風の建物が見えますが、イングリッシュオークを使ったこの種の建築は、今でも最も贅沢で誰もが憧れるサマーハウスだと思います。




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サンドストーン(砂岩)が敷き詰めらた通路の、このスペースの取り方も素晴らしいですね。



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 左方に、半分崩れ落ちたレンガの壁とダイヤモンドパターンの錆びたウインドウが見えます。その下には小さな池が有り、池や周辺にはアイリス、シダ植物、ジャパニーズメイプル、フォックスグラブ(Digitalis)なども見えます。デザイナーは、このチューダー朝の名残のような窓と、通路側のモダンな‘窓’を対比させ、私たちにメッセージを送っているのでしょうね。




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 さて、窓を通して来場者には何が見えたのでしょう。
 百年の時が過ぎても、人々の心を魅了する植栽もお庭のデザインもそれほどには変化していないということでしょうか。
 過去の展示のお話になりますが、スカイガーデンと称し、船のような物体をクレーンに吊り下げてそれを上下させるお庭も登場しました。また、プラスティックだけで造園する前代未聞のガーデンも登場するなど、チェルシーには常に人々をアッと言わせる奇抜なデザインが次々と登場しました。
 しかし来場者が、自宅に持ち帰りたくなるようなお庭は、時を超えてタイムレスで有るというメッセージを私達に伝えたかったのかもしれません。




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 Stoke-on Trent's Story of Transformation
デザイナー:The Landscaoe Team, Stoke-on-Trent City Council 

 こちらはモダンですが、とても素敵なガーデンです。

 バーミンガムの北、ストーク オン トレントと言う産業都市が、モダンで力強い近代都市に変容した姿を、このガーデンに表現されました。
 上でご紹介した三つのお庭は、いずれもゴールドメダルを受賞されたお庭ばかりですが、このお庭は今回の出展作の中では最下位のシルバーメダルです。しかし通路に立って見渡す限り、他のゴールド受賞のお庭に較べ、全く見劣り致しません。それどころか、このガーデンに対する私のポイントは高いのです。
 大勢の来場者も、どうしてこのガーデンがシルバーなの?どうしてゴールドではないの?などと疑問を投げかけておられました。
 説明に当っておられた方は、『残念でしたけれど、最終的な仕上げの時間が足りませんでした。私たちはもう少し時間の余裕が有れば完璧でしたのに。ここからは見えませんが、あのビン窯の周辺が思うように完成していないのです』などと説明しておられました。
 チェルシーでゴールドを受賞することはとても大変なことのようですね。95%完璧で他を抜きん出ていても、僅か5%の未完成が、ゴールドを遠ざけてしまう厳しい世界なのでしょう。




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 スケルトン化して骨格だけが残ったビン窯が、このお庭のフォーカルポイントのようです。あの白いブロック状の工作物は地元のアーティストの作品で、それなりの意味が有るのだと思いますが、あれらをすべて取り除きたくなるのは私だけでしょうか。
 代わりに月並みですが白いツル薔薇を絡ませてみてはいかがでしょう。
 それもビン窯の骨格が三分の二ほどは見える程度に控え目に絡ませるのです。ガーデンには沢山の薔薇がちりばめられていますから、ビン窯の白いツルバラはそれらと絶妙に調和するのではないかと、勝手な想像を巡らせました。それぞれの方が、それぞれのイメージで展示作品の中に入り込んでいく…これもチェルシーショーの楽しみ方の一つではないでしょうか。

 手前にはドリンクのコーナーが見えます。そしてそのすぐ上は池で、睡蓮の花も咲いておりました。




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 広い壁庭の処理も大変丁寧で、これを仕上げるだけでも相当に時間をかけたことでしょう。




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 この薔薇を中心にした植栽の美しさには、立ち退くことをためらうほどです。
 このガーデンはストーク オン トレント市、つまり地方自治体の出展ですから、地元や周辺地域のサポートが多く、デイヴィッド オースティン ローズ社も地元に近いことも有り、これらイングリッシュローズのスポンサーなのです。道理でこれらの薔薇の美しさには納得致しますね。




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 このショーガーデン部門は、規模の大きさゆえにダイナミックで、メダルの色などに関係なくそれぞれに見ごたえが有り、出展者のメッセージを読み解く楽しみが有ります。

 この部門に、日本人のガーデンデザイナーのエントリーもときどき見られます。最近では2010年と2011年に石原和幸さん、2009年にはケイ山田さんが御出展なさいました。ケイ山田さんは三度、この部門に御出展になられ、2002年のショーガーデンはシルバーギルトメダル(準金賞)に輝やいておられます。

 今回はショーガーデンの一部ですけれど、遅れ馳せながらご報告申し上げました。
 次回はショーガーデン部門の続きと、フレッシュガーデンやアーティザンガーデン部門も御報告できればと思っております。アーティザンガーデン部門では、石原和幸さんの‘床の間ガーデン’がベスト アーティザンガーデンに選ばれました。

 いつもご無沙汰が続きまして申し訳ございません。どうぞ皆さま、素敵な夏をお過ごしになられますように。
 
 


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  1. 2013/06/16(日) 00:59:35|
  2. チェルシーフラワーショー
  3. | コメント:9

プロフィール

はなあかり

Author:はなあかり
 人生も後半にさしかかり英国で暮らすことになりました。今では黄昏年齢となり、それが花灯りの名前の由縁でもあります。日本に残してきた小さな庭にいつの日か帰る夢を抱きながら、一方では、自分好みに染まるこちらの庭への愛情もはかりしれません。
 2002年にアロットメントに植えたグリーンゲージなどの果樹類も大きく育ち、秋には収穫を楽しんでおります。

 City & Guilds にてFlower Arranging Skillsを、NAFAS (National Association of Flower Arrangement Societies)では、Floral Art & Design のDiploma を取得しました。
 1998年に<いけばな>指導をスタートし現在に至ります。2007年に、ご関係者からのご要請とお仲間のご支援のもと、ロンドンに<いけばな>の新組織を立ち上げました。以来、組織の運営に関わりながらお花の指導を続けております。

 自宅の庭は、<いけばな>や英国風フラワーアレンジメントに必要な植物素材を調達する上で、大変有益で大切な場所になっております。2010年からは、すべてひとりで手入れしておりますので、メンテナンスの少ない庭は必須となり、今ではシュラブ類と宿根草のみの庭になりました。
 更新は稀ですが、折々にお出でいただければ嬉しく存じます。

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