イギリスそよ風もよう

ー庭やアロットメントでのガーデニング、いけばな、フラワーアレンジメントの日々を綴りますー

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英国の美しい寺‘日本山妙法寺’と花祭り

                                 10 April 2007


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 今年の四月八日、お釈迦様のお誕生日をお祝いする花祭りは、偶然にもイースターサンデーと重なりました。イースターはクリスチャンの方々にとっては、クリスマスに次ぐ大切な行事です。
 花祭りには御誕生仏を“たらい”の中に安置し、その周りを花で飾ります。『天上天下唯我独尊』と唱えながら、御誕生仏に甘茶をかけてお祝いしたご記憶がおありの方も多いのではないでしょうか。
 この日私は、その御誕生仏が安置される、お花御堂を飾るご奉仕で、このお寺にやってまいりました。




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 このように大変美しい本格的なお寺が、英国に建立されていることを知る方は在英の日本人の間でも少ないと思います。そしてこの建造物が、『日本建築の意匠と技法』(1971)、『南都七大寺の研究』(1966)など多数の著書でも知られ、文化財保存修復などでも大御所的な存在であられた大岡実博士の設計になることは、特筆に価することだと思います。
 ヨーロッパに美しい日本建築を残すことに意欲を示され、博士最後のお仕事として成し遂げられたとのことですが、身近で、このような偉業を目の当たりにすることの出来る幸運に、改めて深い感謝の思いです。




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 どの角度から拝見しても端正な姿、日本建築の美しさに感嘆するばかりです。全体の骨組と屋根の部分は日本から宮大工の方々がこられて当たられましたが、細かな部分はお坊様がたが中心となられ、何年もかけて現在の形にされました。




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 手前の桜はソメイヨシノで、満開です。満開のまま、しばらく散らないのは気温のせいだと思いますが、長く楽しめるのは嬉しいことです。




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 これは建物の後方に回って写しました。手前に広がるのは石庭です。
この広大な土地は、このお寺の所在地であるミルトンキーンズ市の公園課(パークトラスト)の管轄です。今から28~9年前に、99年間、無償での貸与を受け、このお寺の建築が始まりました。
 一昨年、丘の上にそびえる仏舎利塔の25周年のご法要が催されましたが、その時、参列しておられたミルトンキーンズの市長様より、重大なご報告がありました。それは99年の無償貸与期間を999年に延長しますというものだったのです。何と素晴らしい計らいでしょうか。
 毎年、ご法要には市長様ご夫妻をはじめ、市の関係者も出席されますし、財政的な支援もいくらか市から受けているとうかがいました。年中行事への参列者も地元のイギリス人がほとんどですし、このお寺は市民にとって大切な一つのパラダイス的な存在になっているのは確かです。
お坊様方が地元とのつながりを大切になされてきた、ご努力があってのことだと思います。





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ご本堂の中です。中ほどに、御誕生仏を安置した、お花御堂が見えますが、あれがこの日の私のお仕事です。お釈迦様は花園でお生まれになられたとのこと、屋根も柱も周囲も花いっぱいに飾ります。今年は、菊とカーネーションをご用意いただきました。庭から持参しました馬酔木の花を添えましたが、屋根は菊だけで仕上げてあります。見えているのは前面だけですが、方形のお御堂ですから、四面を同じように飾りますので、完成には正味8時間はかかかります。オアシスをセットしてアレンジしてありますので、二週間は綺麗だと思います。
 このお寺さまとお花が取り持つご縁でお近づきにさせていただいてから、三年になりました。六月には丘の上の仏舎利塔でのご法要がありますが、そのときは大掛かりですから、お花の生徒さんも三人ほど一緒に二日がかりでご奉仕いたします。




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正面のお写真の方は、この宗派、日本山妙法寺の創始者であられる藤井日達上人様(1885~1985)です。元は日蓮宗のお坊様であられましたが、一貫して戦争反対を唱え、警察に追われる身となられ、日蓮宗に迷惑が及ぶことを懸念されて自ら独立されたのだそうです。
 その後、仏教は世界平和の理想を実現する教えだと説かれ、非暴力による平和の実現を願って世界の平和運動に取り組まれたお方と伺いました。このお寺のような拠点がイタリア、オーストリア、アフリカ、アメリカと世界中に三十数か所もあるのだそうです。
 日蓮宗ですが、キリスト教徒もイスラム教徒もヒンヅーも平和を願う人々はすべて歓迎され、ご法要には、お隣の教会の牧師さんもご招待されるほどです。創価学界とのご関係ではないそうです。
 
 さて、お花祭りは、好天に恵まれたこともあり、300人を超える参拝者が見えられました、ほとんどが地元のイギリス人だったようです。日本人は数組の家族だけだったとか、少し寂しい気持ちがしないでもありません。日本人の中には宗教と名の付くものに対して多少の抵抗があり、距離を置こうとされる方が多いのかもしれませんね。
 ここのお寺の建立時から30年近くもお勤めをしておられるのは、伴田上人様、そして丸田庵主様です。信仰心の薄い私のようなものでも、いつお伺いしても同じ笑顔で迎えてくださいますし、ここは本当に私にとっても心休まる平和の館です。皆さまもミルトンキーンズをお訪ねになられる機会がありましたら、この大岡実博士の文化遺産的な優美な仏閣をご覧になるために、そしてお二人の素晴らしいお坊様の笑顔に接するためにも、お寺にお運びになりませんか。




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 このお花御堂のアレンジをご縁で致しておりますが、実は私には子供の頃に祖母と一緒に、花祭りの準備をした思い出があるのです。祖先は僧兵だった平家の落人で、以来、片田舎で先祖代々、天台宗の僧侶として細々と生をつないで参りました。お花御堂の飾り付けは祖母と私の役目でした。甘茶の木が庭の外れにあり、母が甘茶を大量に作って、参拝の方が持参したビンに詰めて渡しておりました。お供えした牡丹餅の黄な粉の香りが今もよみがえります。
 兄は後を継ぎませんでしたし、父もあえて求めませんでしたから、800年続いた僧侶の家系もおわりました。何年か前に生家を訪ねた時、使われなくなったお御堂の片隅にお誕生仏が見え、甘茶をかけられることも無く、乾いたままで立ち尽くすお姿を見て、さすがに私の胸中にも去来するものがありました。
 はるかな歳月を経て、御誕生仏にお花を飾る機会に再び廻り合えるなんて、しかも英国の地における有り難いご縁に心から感謝いたし、今年もご奉仕をさせていただきました。

 次回には、お庭と、同じく大岡実博士の設計になる、丘の上の仏舎利塔をお目にかけます。


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  1. 2007/04/10(火) 00:57:07|
  2. 日本山妙法寺
  3. | コメント:8
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コメント

英国に日本があった

「日本山妙法寺」、なんていい仏閣なのでしょう。
本堂も立派ですが、まわりの庭景色がいいですね。
壮大な風景に細かい部分で風雅を感じます。
庫裏も、宿坊もあるようですが・・・。

この周囲は日本の文化と心がそのまま移ったような空気なのでしょうね。
  1. URL |
  2. 2007/04/10(火) 15:10:57 |
  3. ば~ば #-
  4. [ 編集]

背景に山が無いお寺の写真は
日本では見られませんよね。
広々していてとても新鮮な感じです。

利害ばかりを気にする人が減り
平和を願う人がもっともっと増えるといいなと願います。
  1. URL |
  2. 2007/04/10(火) 15:26:26 |
  3. 永月水人 #c5ZjinGs
  4. [ 編集]

あ~あびっくりしました

遠く離れたイギリスに日本のお寺とお庭があり、お坊様がいらして・・・・。お坊様は、お説法もなさるのかなとか思いました。お説法は、父の眠るお寺では、毎年、お聞きして、心打たれるものです。
  1. URL |
  2. 2007/04/10(火) 20:35:10 |
  3. hanahhana1952 #-
  4. [ 編集]

ば~ば さま
 庫裏も宿坊もある、本格的な仏閣です。格調の高さに設計なされた方の魂が込められているのを感じます。
 英国の小・中学生や、養護学校の生徒達も、先生に連れられて日本の文化や、仏教に触れるために訪れてきます。お二人のお坊様方は来訪者のお相手で毎日本当にお忙しくお勤めをしておられます。
 ミルトンキーンズ市は、地域にすっかり溶け込み、市民から親しまれているこのお寺を、大変誇りにしていると思います。
 
  1. URL |
  2. 2007/04/11(水) 04:44:51 |
  3. はなあかり #gy/qpaFs
  4. [ 編集]

永月水人 さま
 そうですね。確かに背景にデンと山が控えているお寺も多いですね。このお寺は背面はなだらかな丘になっているのですよ。一部雑木林ですが、ほとんどは芝生で、伴田上人様がトラクターに乗って斜面の芝刈りをしておられます。過日は、刈り取られた芝を、高校生の自発的なボランティアがやってきて、はき集めておりました。そんな若者の姿に感動した私です。
 周辺はとっても広々としたところで、丘に上がると湖が見えます。
  1. URL |
  2. 2007/04/11(水) 05:03:53 |
  3. はなあかり #gy/qpaFs
  4. [ 編集]

hanahhana さま
 そうでしょう。驚かれましたでしょうね。日本人向けの日本語の案内書には書かれてはいませんし、お寺の方でも宣伝活動は一切なされませんので、知る人ぞ知るの秘蔵のお寺です。
 でも地元では、行事の度に新聞記事になりますから、大変有名なお寺ですよ。
 初めてこのお寺を見られた日本人は、品格のある美しい仏閣が、周辺の自然と見事に調和していることに、大きな感動を覚えられるようです。
 お坊様は地元の来訪者に、仏教について英語でわかりやすくお話しておられます。お説法というのでしょうね。
  1. URL |
  2. 2007/04/11(水) 05:28:59 |
  3. はなあかり #gy/qpaFs
  4. [ 編集]

私も今日訪れました

初めてコメントさせて頂きます。Anne言います。
私は、今、ミルトンキーンズでオペアをしながら暮らしています。残念ながら2週間後にはここを去ってしまうのですが
とても癒された場所でした。

長い海外生活の中、自分のルーツである文化を身近に感じ、張りつめていた糸がきれたように
丘を登ったあと、見たお寺の屋根を見て泣いてしまいました。

ミルトーンキーンズは、第2次大戦中に、戦禍を被った街の一つだと聞きました。
平和を愛するミルトンキーンズ市民にこれからもずっと愛されて欲しいですね。

私も、今後ともUKへ住む予定なので、これからも愛し続けて行きたいです。

  1. URL |
  2. 2008/09/29(月) 05:48:39 |
  3. Anne #okDTdv6k
  4. [ 編集]

Anne さま
 2009年度のお花祭りの記事をアップしている途中で、過去の記事に目を通しましたところ、Anneさまへのお返事コメントが掲載されていないことに初めて気付きました。
 御返事を書いた記憶が確かにありますのに、載っていないということは送信完了の確認を私が怠っていたということになります。2008年の9月末にコメントを頂戴していますから、すでに6か月以上も御無礼していたことになりますね。
 この大変遅ればせながらのコメントがAnneさまのお目に留まることを念じます。

 私はAnneさまの記事を拝読したときに大変心を動かされました。それはこの場所のことを 「とても癒された場所でした」と、お書きになっておられるところです。
 御自身のルーツである文化を身近に感じ、丘の上からお寺の屋根を見てお泣きになられた、という箇所も印象的で、庵主さまにもお伝え申し上げました。

 ミルトンキーンズ市は日本人の多い都市ですが、控え目であられるとか、遠慮深いなど日本人独特の国民性もあるのでしょう、お寺に近付いて扉をノックされる方はほとんどおられないように見受けます。
 でも、Anneさまのようにお寺を遠くからでも心の拠り所としておられる日本人がおられるということ、そしてそのような方は他にも大勢居られるのではということを、戴いたコメントを通して再認識させられる思いが致しました。それは本当に嬉しいことでした。

 ミルトンキーンズ市の市長さまも、平和実現を主目的とされるこのお寺は平和のシンボルだとスピーチでおっしゃられましたが、いつまでも市民に愛され、平和のメッカであり続けることを私も念じます。

 素敵なコメントを本当にありがとうございました。図らずも、お返事コメントが送信完了していなかったという不手際がありましたことを、心からお詫び申し上げます。
 
 
  1. URL |
  2. 2009/04/10(金) 21:22:13 |
  3. はなあかり #gy/qpaFs
  4. [ 編集]

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プロフィール

はなあかり

Author:はなあかり
 人生も後半にさしかかり英国で暮らすことになりました。今では黄昏年齢となり、それが花灯りの名前の由縁でもあります。日本に残してきた小さな庭にいつの日か帰る夢を抱きながら、一方では、自分好みに染まるこちらの庭への愛情もはかりしれません。
 2002年にアロットメントに植えたグリーンゲージなどの果樹類も大きく育ち、秋には収穫を楽しんでおります。

 City & Guilds にてFlower Arranging Skillsを、NAFAS (National Association of Flower Arrangement Societies)では、Floral Art & Design のDiploma を取得しました。
 1998年に<いけばな>指導をスタートし現在に至ります。2007年に、ご関係者からのご要請とお仲間のご支援のもと、ロンドンに<いけばな>の新組織を立ち上げました。以来、組織の運営に関わりながらお花の指導を続けております。

 自宅の庭は、<いけばな>や英国風フラワーアレンジメントに必要な植物素材を調達する上で、大変有益で大切な場所になっております。2010年からは、すべてひとりで手入れしておりますので、メンテナンスの少ない庭は必須となり、今ではシュラブ類と宿根草のみの庭になりました。
 更新は稀ですが、折々にお出でいただければ嬉しく存じます。

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