イギリスそよ風もよう

ー庭やアロットメントでのガーデニング、いけばな、フラワーアレンジメントの日々を綴りますー

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チェルシーフラワーショー ’09

                           15th June 2009



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 今年のチェルシーフラワーショーは5月19日から23日まで一般公開され、私は20日に訪れました。朝から夜の8時近くまで、毎年10時間ほど歩き回りますが、それだけ時間をかけましても、すべての展示場を見尽くすことはできません。
 あらかじめRHSにカタログの郵送をオーダーし、目的の展示場に一応の目星をつけて出かけるのですけれど、それでも途中の魅力的な展示物につい気を引かれ、目的の場所に到着する前に時間を過ごしてしまうというのが実情です。
 年に一度の園芸の祭典、言わばお祭り気分で繰り出しておりますから、そんな時間の過ごし方もまた楽しいのですけれど・・・。

 エントランスは二か所あり、こちらは主として車やタクシー、バスなどで行くときに使われる、テムズ川サイドの入場口です。午前11時ごろまでなら混雑の程度もそれほどではありません。





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 まず最初に駆けつけるところは他の多くの方々がそうであられるように、この私もショーガーデンに直行致します。
 大勢の方々が詰めかけておられますので、思う場所で写真を写すのには忍耐が必要です。この場所をゆっくり観賞し、周りに気兼ねすることなく写真を写したい向きには、午前八時の開門と同時に入場、この場所に直行されることをお勧めいたします。

 今年のショーガーデンの出展数は13で、昨年までの20を上回る数に比べますと、意外な印象を受けてしまいました。不景気がガーデンデザイナー達のスポンサー獲得に影響を及ぼしたのでしょうか。

 さて、この写真のガーデンは、『The Cancer Research UK Garden』, デザイナーはRobert Myers 氏です。この方のデザインされたガーデンを楽しみにして毎年チェルシーへ足を運ばれる方も多いことと思います。今年のデザインもモダンでありながらエレガント、隙がないほど洗練されていて、さすがと舌を巻きます。、チェルシーでは連続してゴールドメダルに輝き続けている、ケンブリッジ大の地理学の学位を持つデザイナーです。

追記(6月20日); 私はこのロバートさんのガーデンのことを、今年も又ゴールドだと信じて疑いませんでしたが、きょう配達されましたRHSのマガジンの記事を見て、ゴールドとシルヴァーの間の賞、シルヴァーギルトであったことに気付かされました。
 審査は、時には多くの人々の予想に反する結果が出されることもあり得るという一つの実例だとも思いますが、このガーデンは、一般の方々の投票の結果、最高の得票数で ’The RHS People's Choice Show Garden'に輝いたそうです。ロバートさんは、ベストショーガーデンに選ばれるのと同じくらい、あるいはそれ以上にこちらの賞の方が嬉しかったかも知れませんね。





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『The Laurent-Perrier Garden』、デザイナーはLuciano Giubbilei という方です。チェルシーへのデザイナーとしての参加は初めてのようですが、ゴールドメダル受賞でした。





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 色を見せる草花のコーナーはこの一か所のみ、この色彩の選び方にもハッとさせられるものがあります。




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 『Perfume Garden」』、デザイナーはLaurie Chetwood、そしてPatrick Collins両氏の共同デザインです。タイムやラヴェンダーのようなプラントがたくさん植えこまれておりました。中央に見えます丈高の塔もデザインの一部です。あの塔の向こう側に回ってみましょう。





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 香りの強い花弁を乾燥させた、赤紫やピンクのポプリが見えますね。隅々まで無駄がなく研ぎ澄まされた感覚で仕上げられています。





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 『The Daily Telegraph Garden』、デザイナーはUlf Nordfjell氏、スゥエーデンのランドスケープ アーキテクト(landscape architect)だそうです。スゥエーデン風のガーデンに英国風エレメントが加味されているのでしょうか。
 このガーデンを含め上記4点のショーガーデンはすべてゴールドを受賞しておられましたが、それらの中でベスト ショー ガーデンに選ばれていたのは、このガーデンでした。





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 北欧、スゥエーデンの春の訪れはこのような色合いで始まるのでしょうか。





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 このシルバーグレーの葉物と、白やブルー系の花々の組み合わせがクールで素敵ですが、白くてシャープな石も含め、やや寒々としていてどちらかといえば男性好みのお庭ではないかしらとも思ってしまいました。




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 『The HESCO Garden』、これは地方自治体である英国北部のリーズ市(Leeds City Council)が、出展されたガーデンです。特定のデザイナーに頼るのではなく、市民のそれぞれのスキルを生かし、共同で築き上げたガーデンなのだそうです。
 市長さんが、市の関係者とにこやかにお庭にたたずんでおられました。ほっとするような英国カントリー風の素敵なガーデンでした。





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 『The Quilted Velvet Garden』、デザイナーはTony Smith 氏です。中央に円形の部分が見えますが、あそこにはキルトのベルベットクッションが敷き詰められておりました。ピンク色のお花は、英名でビジーリジー(busy lizzie)といわれます、インパチェンスです。





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 英国のガーデンデザインの最先端は大変モダンだと思いますが、これほどまでに!と思わせられたのがこのデザインです。タイトルは『Future Nature』、デザイナーはAdrian Hallam, Chris Arrowsmith, Nigel Dunnettの三氏です。私には、このガーデンの意味を理解するにはまだまだ時間がかかりそうです。




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 この構築物をどう思われますか。見学者の中にはファンタスティック!などと言って楽しそうに見上げている方も何人もおられました。動物の頭蓋骨や背骨のようなものも見えます。





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 『The Foreign & Colonial Investments' Garden』、デザイナーはThomas Hoblyn氏です。
 チェルシーガーデンは更地の状態から始め、三週間ほどで仕上げなくてはなりません。この雑草はそんな短期間でこの場所に馴染んだとは思えない自然さです。





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 ガーデンそのものがモダンなデザインの場合と異なり、このようにナチュラルな感じに仕上げたガーデンに、モダンなタッチを加えようとするとき、その加減が問題だと考えさせられます。いかにモダンをナチュラルに溶け込ませるか、モダンとナチュラルのバランスなど難しそうですね。





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 半透明のニンフのような女性の像がこの場所にマッチしていて素敵だと思いました。 





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 ショーガーデンの最後にご紹介させていただくのは、今回展示されていた13のショーガーデンの中で、唯一の女性デザイナー、しかも唯一の日本人デザイナー、Kay Yamada さんのガーデンです。
タイトルは『Echoes of Japan in an English Garden』。

 ケイ山田さんが過去にご出展なされたショーガーデンを幸運なことに私は三回とも、拝見させていただいております。最初は蓼科の風景をデザインされ、二回目は堂々とイングリッシュガーデンに挑戦され、いずれも立派な賞をお取りになっておられました。前回は2003年でしたから、今回は6年ぶりのご出展ということになります。

 ガーデンデザインの最先端国英国の、チェルシーのショーガーデンは、前掲の写真などでもお分かりのように、モダンデザインが主流となり、伝統的ないわゆるトラディッショナルは少なくなってきております。それを御承知でケイ山田さんはご自身の理想のイングリッシュガーデンをチェルシーにご出展なさっていらっしゃいます。トラディッショナルなイングリッシュガーデンを愛してやまないケイ山田さんのご信念の現れだと思います。





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 前掲の多くの男性デザイナー達の、クールでシャープな?デザインに比べ、何て優しく心休まるデザインなのでしょう。
 異国の審査員たちに、ケイ山田さんがアピールなさろうとされた、水琴窟や青海波のデリカシーは、どこまで理解していただけましたでしょうか。





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 日本的な情趣の加わったイングリッシュガーデンに来場者はうっとりです。ゴールドメダル受賞のお庭達はデザインの斬新さでは評価されますでしょうが、実際に目の前にたたずんだとき、多くの方の心癒されるお庭とは、このような自然調のお庭ではないでしょうか。




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 ケイ山田さんのお写真を写させていただきました。お人柄も穏やかで大変お優しいお方です。
 この最も規模の大きなショーガーデン部門に、日本からエンターなさるのは、並大抵のエネルギーでできることではありません。この方の奥に秘められたパワーには計り知れないものがあると思います。




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 このガーデンをご覧になられた方々の中には、感嘆の声をあげておられる方もおられました。『ここが一番素敵だわ』とおっしゃった方もおられました。ショーガーデンのデザインはモダンに移行しましても、自宅に築く庭は、ほとんどの方はやっぱり伝統的なトラディッショナルが好きなのですもの。
 ケイ山田さんのガーデンを真剣に眺め入るこの来場者たちの表情が、何かを物語っているようですね。

 
次回は自宅の庭に戻りますが、チェルシーの他の部門も、ご覧いただきたいと思っております。 


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  1. 2009/06/15(月) 18:46:24|
  2. チェルシーフラワーショー
  3. | コメント:6
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コメント

チェルシーのガーデンショー

こんばんは。
私はどちらかというと保守的なので、美術でもあまりモダンなものは理解できないのですが、
『The Quilted Velvet Garden』は造形として面白く、それでいてインパチェンスのピンクにやさしい印象を
受けました。後は半透明のニンフのような女性の像のあるお庭もいい雰囲気だと思います。
ガーデンの中にはやや自然と対峙して、挑戦的な印象を受けるものがありますが、
ケイ山田さんのお庭は身近に感じられるお庭だと思います。
最近はモダンなものが好まれる傾向なのですね。とても興味深いガーデンショーでした。

以前3月の私のブログに載せました謎の果実について「ムクロジ」ではないかと教えて
いただきましたが、今日ムクロジの樹を見つけました。大変背の高い樹で遠めに花が見え、名札がついていました。いずれブログにアップすると思います。
とてもすっきりした気分でうれしかったです。ありがとうございました。
  1. URL |
  2. 2009/06/15(月) 23:40:06 |
  3. パンドラ・ヴィス #-
  4. [ 編集]

植物が元気

仕事をしていたころはガーデニングショーなどによく参りました。
ほとんどが、オープン間際か、どうかするとオープン以前。
植物がまだ根付いていなくて、惨憺たる有様でした。
いつも、終わりごろ、せめて始まってから一月か二月後くらいに行きたいよってお願いしていましたけど、なかなか希望を叶えてもらえず、根付いたころの有様は想像するしかありませんで、ガーデニングショーには食指が動かなくなってしまいました。
このチェルシーのショーの写真を拝見していますと、どの植物も元気に育っているようで、なにか特別な仕掛けでもあるのでしょうか?
  1. URL |
  2. 2009/06/19(金) 22:43:31 |
  3. 赤い風車 #-
  4. [ 編集]

パンドラ・ヴィス さま
 英国は伝統を大変重んじる一方、モダンの最先端国でもあると思いますが、そのためでしょうか、友人達は、モダンデザインに対する抵抗は一切無く、見る目もなかなか鋭くて、文化のバックグラウンドの違いを感じます。私などは、英国暮らしでモダンを理解しようと努力はしますが、やはりトラディッショナルの域を抜けられません。

 ケイ山田さんのお庭に植え込まれたシャクナゲ、フジ、カエデなどはこちらでは馴染みの深いプラントで、英国のガーデンにも植えられていますので、日本情緒を醸すエレガントな英国式ガーデンとして、英国人の目にも身近に受け入れられたことと思います。東西ガーデン文化の融合を意図されたケイ山田さんの構想は成功されたと思います。
 ただ完璧な自然調のガーデンを背景にして、正面中央に置かれた一対のガラス製の水琴窟や、水場に置かれたガラスのオブジェは、どのように英国人に理解されましたでしょう。ケイ山田さんはこれらのオブジェを通してモダンとの融合も図られたのだと思います。

 あの木や落ちていた実が‘ムクロジ’だったと伺い、私も嬉しくなりました。お知らせいただきまして、本当にありがとうございます。もうかれこれ45年ほども私は‘ムクロジ’の木を見ておりません。パンドラ・ヴィスさまがブログにアップされるお写真を大変楽しみに致して居ります。
 
 
  1. URL |
  2. 2009/06/21(日) 18:30:38 |
  3. はなあかり #gy/qpaFs
  4. [ 編集]

赤い風車 さま
 赤い風車さまは、かつて取材でいろいろなガーデンショーにお出かけだったのでしょうか。
 このチェルシーでは平らな芝生のようなところに、わずか三週間で、あたかも何年も何十年もそこにお庭があり続けたかのように造り上げなくてはなりません。審査日に、たとえ一本でも状態の悪いプラントがあるのは論外でしょうから、出展なさる方々の神経の使い方は尋常ではないと思われます。
 何年もかけてチェルシー出展用のプラントの準備をされる様子をテレビ番組で見たことがありますが、植物のコンディションは最高の状態のものばかり、選りすぐって植え付けられていると思います。

 チェルシーフラワーショーの期間は一週間で、初日は女王様やセレブの方々のお見えになられる日、植物の状態はきっとその日がベストだと思います。二日目、三日目はRHSのメンバーの日、それ以降の三日間(木金土)は一般の方々の日です。入場料は日が後になるほど、お安くなっていくことから考えますと、植物の状態を考慮されてのことかと思います。
 最終日のしかるべき時刻になりますと、これら展示用の植物は販売されるのですが、それも大変な人気のようで、それを目当てにあえて最終日に来られる方もおられるようです。私も一度経験してみたいのですが、乗り換えのある電車でのプラントの持ち帰りは大変だと思うだけでまだ実行できないでいます。
 赤い風車さまも、そのうちぜひチェルシーにお出かけになられてはいかがでしょうか。植物の状態にはきっとご満足だと確信します。
  1. URL |
  2. 2009/06/21(日) 20:13:27 |
  3. はなあかり #gy/qpaFs
  4. [ 編集]

さすがですね

はなあかり様
 さすがガーデニングの本場…という感じ、イベントも本格的ですね。写真だけで十分、その気分を味わえます。建築物…トーテムポール風ですね。とっても芸術的。また、こうして楽しませてくださいね。
  1. URL |
  2. 2009/06/23(火) 17:59:51 |
  3. Rooly #azeTSA.6
  4. [ 編集]

Rooly さま、
 丈高の構築物に、Rollyさまはトーテムポールをイメージされたのですね。改めて眺めましたら、おっしゃられる通り本当にそのように私にも見えて参りました。ナチュラルな素材が升目にお行儀よく詰め込まれていてなんとなく宗教的でもあり、確かにあれはお庭のトーテムポールという感じです。
 Roolyさまのお陰で、私にもあのポールに親しみが湧いて参りました。

 ご報告させていただきたいことがたくさんありますのに、遅々として進みません。でもいつも気持ちだけはありますので、時間を見つけては少しずつアップを試みます。お出でいただきまして、本当にありがとうございます。
  1. URL |
  2. 2009/06/25(木) 18:37:05 |
  3. はなあかり #gy/qpaFs
  4. [ 編集]

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プロフィール

はなあかり

Author:はなあかり
 人生も後半にさしかかり英国で暮らすことになりました。今では黄昏年齢となり、それが花灯りの名前の由縁でもあります。日本に残してきた小さな庭にいつの日か帰る夢を抱きながら、一方では、自分好みに染まるこちらの庭への愛情もはかりしれません。
 2002年にアロットメントに植えたグリーンゲージなどの果樹類も大きく育ち、秋には収穫を楽しんでおります。

 City & Guilds にてFlower Arranging Skillsを、NAFAS (National Association of Flower Arrangement Societies)では、Floral Art & Design のDiploma を取得しました。
 1998年に<いけばな>指導をスタートし現在に至ります。2007年に、ご関係者からのご要請とお仲間のご支援のもと、ロンドンに<いけばな>の新組織を立ち上げました。以来、組織の運営に関わりながらお花の指導を続けております。

 自宅の庭は、<いけばな>や英国風フラワーアレンジメントに必要な植物素材を調達する上で、大変有益で大切な場所になっております。2010年からは、すべてひとりで手入れしておりますので、メンテナンスの少ない庭は必須となり、今ではシュラブ類と宿根草のみの庭になりました。
 更新は稀ですが、折々にお出でいただければ嬉しく存じます。

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